教育心理学科は、養護教諭や特別支援学校教諭の養成課程のある教員養成系学科ですが、同時に、認定心理士資格が取得できる教育系の心理学科でもあります。
本学科において心理学は、養護と特別支援という2つの領域を仲立ちする学問領域と位置づけられます。心のケアもできる養護教諭、心理療法の知識を備えた特別支援学校教諭が育ってほしいと考えています。
もちろん、大学院に進学し臨床心理士養成課程を修め、心理臨床の専門家として活躍することも期待しています。というわけで、教育心理学科の学生は、何らかの形で心理学とかかわりますし、学科所属の教員も、専門こそ違いますが、多かれ少なかれ心理学と接点をもっています。
そこで、在学生や高校生が心理学により興味をもったり、教育心理学科への関心が深まることを期待して、学科教員がそれぞれの立場で心理学とのかかわりについてリレーエッセイの形で語ることにしました。
リレーエッセイ 第9回 「心理学とわたし」
津島 靖子(特別支援教育)
私は,ことばの機能,特に子供の文字の読み書きについて関心をもっています。
大学では言語学を学び,心理学という学問とは関わりのない生活を送っていました。当時,その後の自分の人生において,心理学分野を学ぶ機会があろうとは想像もしていませんでした。その私と心理学との出会いは,『言語聴覚士』という資格取得の学びにおいてでした。
みなさんは,日常の中で特に意識することなく,聞く,話す,読む,書くことをしていると思いますが,これらは全てことばの機能によるものです。言語聴覚士は,ことばや聴こえなどに困難を抱える子供から大人の方に対して,機能の改善や向上,発達促進を援助するリハビリテーションの専門家です。
大まかな仕事の流れは,どこに困難の原因があるのかを評価し,方法を見出して支援を考えていくというものです。対象とすることばの機能は脳に関係します。脳に損傷や発達のアンバランスがあればどうなるのか,どのような心理機能の変化が生じるのか,ということも知識としてもっておく必要があります。
ことばや認知,知的機能の状態を評価して背景にあるものを捉えてリハビリテーションを行う,その時々において,学習・認知心理学で学んだことが示唆を与えてくれるように感じます。このように,心理学における学びは,人に関わる様々な職種にとって,ものの見方や方法を考える基盤となるのではないかと思います。
心理専門家になる人,心理学で学んだことを活かして他分野に活用していく人。いずれも人生の一つの選択肢だと思います。関心のある高校生のみなさん,教育心理学科へ!