大学祭期間中の2014年10月26日午後2時から、本学考古学クラブ主催による森本基嗣(もりもと もとし)氏の講演「戦国山城探訪(キャッスリング)の魅力について」が開催されました。
森本氏は、岡山県内を中心に各地の城郭を探訪・調査された成果を三冊の著作にまとめておられ、山城探訪の魅力を長年発信されている方です。当日は一般の方々が約40人、学科生と教員15人ほどが聴講しました。
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森本氏は城郭巡りの魅力として、実際に山へ登り、400~500年前の山城の遺構を探し出し、決死の薮こぎや崖登りをした先にとてつもない遺構を発見したときの喜び、その城の戦略的工夫や当時の縄張りを図面に再現して考察する面白さを指摘され、こうした城郭巡りの楽しみを「キャッスリング」(castle+ing)という造語で表現されています。ここでいう「城」とは、岡山城のような1600年前後に築かれた近世城郭ではなく、日本各地の山々に築かれた中世・戦国時代の城を意味し、現在では土塁や堀が残るだけの遺構が大部分であるといいます。
そのように山中に埋もれた城郭を探訪する方法について、森本氏は公的な地図の利用、『日本城郭体系』、『図説中世城郭事典』、『探訪ブックス 城』など、解説書の閲覧が大切ではあるものの、それだけでは麓から山城への登り口がなかなか見つけられず、結局は地元の古老に尋ねるのが最善であると指摘されました。森本氏の著作には、ご自身が苦労された経験を活かして、山城への登り口が分かりやすく解説されています。
最後に、山城探訪は登山であり、十分な服装と装備をし、秋から翌年春までの草木の枯れた時期に登ることを勧めるが、狩猟やマツタケの時期は避け、また荒天や降雪の場合はいさぎよく中止すべきであると忠告してくださいました。長年現場に馴れ親しんだ方ならではの、的確でユーモアに富んだご講演でした。
(文責:福田)