社会教育主事の任用資格を取得できる課程が本学にはありますが、重森さんも在学時に資格取得のため社会教育に関する科目を学ばれました。卒業後は、社会教育主事補というかたちで臨時の職員として経験を積み、その後、採用試験に合格し、行政職に就かれました。毎年、公民館で働きたいという希望を出し、配属されるに至ったそうです。
2014年には、岡山市で開催された「ESD推進のための公民館-CLC国際会議」で運営や司会なども務められるなど、社会教育の分野で大変なご活躍をされています。講演では、公民館の役割や活動、ESD(持続可能な開発のための教育)の取り組みについてもお話いただきました。
公民館は、おけいこごとを単に学ぶためだけにあるのではなく、困っている人たちが自分たちで解決していく力をつけていく場所であり、そうした人びとをつなげ、サポートすることが公民館職員の役割であると重森さんはいいます。公民館の職員が力をつけていくことと、参加している住民の人たちが力をつけていくことが両輪となって、岡山市の公民館は動いていると表現されました。
“教え/教えられる”という関係ではなく“ともに学び合う”という学習方法や、ESDの理念でもある“持続可能な社会をつくる人々をどう育んでいくのか”という課題は、地域の人々がつながり力を出し合う公民館の活動と共鳴します。
2014年10月に岡山市で行われた国際会議には、29ヵ国から700人弱が参加し、公民館やCLC(コミュニティ・ランゲージ・センター)の取り組みとこれからについて話し合われました。分科会ではテーマごとに各地の公民館に分かれ、話し合いや交流が行われました。さいごに、この会議では、公民館やCLCの活動を通してESDを推進していくことを約束する「岡山コミットメント2014」がまとめられています。
公民館は目的がないと来てはいけないところではなく、いろんな人たちがふらりと立ち寄れる場所であり、雑談のなかからいろんなことを見出していく場、そうした気軽なサロンであると重森さんはいいます。人びとのつぶやきや声にならない声をかたちにしていくこと。当事者が学びあいながら関わり、いざというときにたよりになる存在となるよう、人びとをつなげ活動を広げる場に公民館をしていきたいと重森さんは強調されました。
(文責:中塚)