史学会主催 清水克行氏講演会 2017年11月18日
2017年11月18日(土)13:30~ E402教室において、総合歴史学科(史学会)の学術講演会が開催されました。
今回は、清水克行氏(明治大学商学部教授)による「分国法からみた戦国時代」です。すでに多くの著作を公刊され、また最近では歴史系のテレビ番組にも出演されている先生です。
講演は、戦国大名としては決して著名ではない、結城政勝の筆による「結城氏新法度」を詳細に読みながら、戦国時代の実態を探るという内容でした。
戦国大名の理想像はむしろ江戸時代になって形成されたものであることを話の枕として、お話が進んでいきます。明らかになってきたのは、戦国大名が決して強権的・絶対的な存在ではなく、勝手気ままな家臣たちに振り回され、それに愚痴や恨み言を述べることもあるという現実でした。この時代の武士が品行方正ではなく、自分の利益獲得に血まなこになっていたこと、それを何とか大名が統制しようとしていたこと、しかしその統制はうまく行かなかったこと、など厳しい実態が指摘されました。
江戸時代の武士と中世の武士とでは、まったく性格が異なることや、管理職として部下の統制に腐心する戦国大名の「トホホな現実」を知り、この時代の「一筋縄では行かない」複雑さが良く理解できました。
文責:苅米一志